ジャズダンスについて知っておくべきこと
〈ジャズダンス〉
劇団四季のオーディション募集部門、「ヴォーカルクラシック」「ヴォーカルポピュラー」「演技」「ジャズダンス」「クラシックバレエ」の5部門のうちのひとつである「ジャズダンス」。
最近では、いろいろなダンス・スタジオのレッスンに「ジャズ・ヒップホップ」や「ジャズ・ファンク」といったレッスンも盛り込まれています。
「でも、ヒップホップやファンクというのは…ジャズじゃないんじゃないの!?」
そんな疑問を持つ人も多いのではないでしょうか?
というわけで、今回は「ジャズ・ダンス」についてまとめてみました。
20世紀初頭にこのダンスが誕生したときは、文字通り「ジャズの音楽に合わせて踊る」ダンスで、それまでのクラシックのスタイルを破壊するような、先進的なダンスでした。
〈まずは、“アイソレーション”〉
その特徴は、“アイソレーション”という、
ボディーの上半身(スクエア)を固定せずに柔軟に動かす
点で、そこがクラシック・バレエの技術との一番大きな違いです。
ところが、ジャズという音楽ジャンルがさまざまな方向へと進化して音楽的にも細分化されてしまい、ジャズダンスというスタイルそのものもダンスシーンの中でスタンダード化してしまったことなどから、“ジャズで踊る”という表現自体が、だんだんと意味を持たなくなっているのが現実です。
そのため今は、ジャズダンスはどんな音楽でも踊るスタイルがほとんどで、そこで使われる音楽もいわゆる“ジャズ”であることの方が少ないぐらいなんですね。
ただし、ダンスのスタイル以外にも、身体の鍛え方からボディコントロール、洗練された練習法、感情表現の幅広さなど、
ジャズダンスのベースになっているのは、クラシック・バレエです。
最初に書いたように、最近ではヒップホップにジャズを取り入れたスタイルなども人気がありますが、ストリートダンスにはないテクニックやステップが多いジャズダンスは、ミュージカルで一番メインとなるシアター・ダンスの基本です。
〈シアターダンス〉
ブロードウェイのダンス・スタジオでは、とてもメジャーなクラスです。
言葉の通り舞台(劇場)やショーの為のダンスのことを言います。
基礎にはバレエ、ジャズを必要とするダンスで、シアター・ダンスはそれを使って更に“表現するダンス“なんですね。
ハットやステッキのような小道具を使った振付けや、キャラクター(登場人物)の描写にウェイトを置くなど、見せる為のテクニックや表現力を必要とするのもシアター・ダンスの特徴です。
〈ジャズダンスの父・ルイジ〉
ジャズダンスを体系化したのは、ジャズダンスの父とも呼ばれた、ルイジ・ファチュート氏です。
交通事故によって半身不随となって彼は、ダンスのテクニックを利用した独自のストレッチによるリハビリで奇跡的な復活を遂げます。
実は、そんなルイジにダンス(クラシック・バレエ)を教えたのは日本人なんです!
その人の名前は、伊藤道郎(イトウミチオ)。
モダンダンスの創始者でもある伊藤道郎は、当初声楽を学ぶために海外に留学しますが、外国人とのあまりの声量に違いに声楽の道を断念。ダンスに転向したと言われています。
当初リトミックからスタートし、その後、自身の身体の小ささを逆手に取るようなダンス・スタイルや表現力を身につけて、ヨーロッパやアメリカで注目を集める存在になっていきます。
ルイジはそんな伊藤道郎のもとでダンスを学び、事故で半身不随となった失意の底から、バレエのエクササイズを繰り返し行うことで奇跡的な復活を遂げるのです。
生前、日本にも来日してレッスンをされています。
その際のインタビューの様子がこちらで読めます。
また、ルイジのエクササイズを紹介している動画もあります。
参考になりますから、是非ご覧になってみて下さい。
〈知識とイメージを増やしておこう〉
特に、地方でレッスンを受けながら劇団四季のオーディションを目指す場合、地元で受けられるレッスンが必ずしもシアターに繋がるダンス・レッスンではない場合もあると思います。
そういう場合は、自分なりに本やDVD、インターネットで動画を視聴するなどして、ジャズ・ダンスやシアター・ダンスについての知識とイメージを増やしていくことも重要です。
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